「平成29年度音訳者講習(中級研修)」受講報告
目次
概要
9月7日から10月19日まで全6回にわたって東京都立中央図書館で中級研修があった。 うち5回は遠藤美枝子講師による「音訳法の実際」についての講義と演習、1回は成毛由紀子講師による「調査法の実際」についての講義だった。 以下に研修で学んだ内容を報告する。 節の順番は理解した内容ごとに主観的にまとめたもので、学んだ日時の順ではない。
第1部. 音訳法の実際(遠藤美枝子講師)
1. 大切なのは著者の意図が利用者に正確に伝わること
音訳で常に気にかけるべきことは、
- 著者の意図を理解しているか
- それが利用者に正確に伝わる読みになっているか
ということだ。
綺麗に読むことは求められていない。アクセントや口中音にばかり気を取られて、最も大切なことを忘れてはいけない。音訳のルールが、誰のため、何のためにあるのか考えた上で、読み方を選択する。
2. 聞いただけでわかるか考えながら読む
2.1. 読み替えてはいけない。
例)
左の図のように
「次の図のように」と読み替えてはいけない。「左」は、図の配置を示す情報として、欠かしてはいけない。
例)
米国
「ベーコク」
「アメリカ」と読み替えてはいけない。漢字で「亜米利加」なら「アメリカ」と読む。
2.2. 「年」「歳」などの省略がある場合も、付け足さずに読む。
例)
山田太郎(53)
「ヤマダ タロー ゴジューサン」
「ゴジューサン」のピッチを落として読む。
2.3. 聞いてわからない漢字には漢字説明を付ける。
例)
世界に遅れる電子政府
「セカイニ オクレル デンシセーフ (オクレルは遅延のチ)」
送付のソーと思われないように。
2.4. カタカナでも説明が必要なことがある。
例)
この有為転変の繰り返しはまさにフーガである。
「コノ ウイテンペンノ クリカエシワ マサニ フーガデアル (フーガはカタカナ)」
漢字の「風雅」と間違えられないように。
2.5. ダ行とラ行の発音を聞き取りやすいように区別する。
例)
1980年代
1980年来
ダ行の子音は舌全体を上顎につける。ラ行の子音は舌先だけを上顎につける。
2.6. ポーズの基本は、読点で1拍、句点で2拍、改段落で3拍。
2.7. 意味上必要なポーズを忘れずに入れる。
例)
1、2歳児とその親
「イチニサイジト ソノオヤ」
1) 2歳児とその親
「イチ [ポーズ] ニサイジト ソノオヤ」
項目番号の数字と、項目内容の数字がくっつかないように、ポーズを入れる。
例)
原子力発電を推進する人たち
は、小泉氏に様々な角度から反
論をぶつけている。
「代替エネルギーの見通しも
なく脱原発を言うのは無責任
だ」「火力発電に頼ったままで
は燃料費がかさみ、電気料金の
再値上げが避けられない」
しかし、 「これからの日本に
おいて、『核のゴミ』の最終処
分場のめどを付けられると思う
ほうが、楽観的で無責任すぎ
る」という小泉氏の直言に反論
するのは難しい。
小泉氏への反論と、小泉氏の意見とが繋がらないように注意する。 「しかし」がカギカッコの外にあることがわかるように、「しかし」でピッチを上げないようにし、テンポもゆっくりにする。「しかし」の後にカギカッコがあることがわかるように、長めのポーズを置く。
例)
宗栄様の叱咤に、続けざまに発砲があっ
た。怪物の体に的中する。怪物は叫ぶ。
「嫌だ、嫌だ! 撃たないで!」
蓑吉も声を限りに叫んだ。
せりふは後の文と繋がっている。そのことを表すために、せりふの前のポーズを長くし、セリフの後には長いポーズを置かない。
2.8. わかりにくい部分や大事な部分はテンポを落とす。
読みの速さは聞く時に機械で調整できるので、無理にテンポを上げる必要はない。自分で読みの速さをコントロールできるようにする。以下の「5. 滑舌の練習」も参照。
2.9. ピッチの変化を大きくする。
音階で言うと、低いピッチがドなら、高いピッチはラとなる程度まで変化させる。
2.10. 広報誌のようにリストやカッコが多用されている文書では、特に音訳技術が要求される。
リストでのポーズの入れ方やピークの付け方に気を付ける。カッコではピッチを落とす。
2.11. 音のない記号(ナカ点「・」や三点リーダ「…」など)は基本的には読み上げない。
2.12. 中略という意味で三点リーダが使われている場合は「テンテンテン」などと読み上げる。「テン」の個数は重要ではない。
2.13. 記号自体が文中で話題になっているときは、その記号を読み上げる。
2.14. タイトルや固有名詞で記号が使われているときは、どこかで説明する。
例)
『君の名は。』
「キミノナワ、クテン」
2016年の映画のタイトルでは句点が付くが、昭和初期のラジオドラマのタイトルでは句点が付かない。
2.15. ダブルハイフン(繋ぎ符)「゠」とイコール「=」を間違えない。
ダブルハイフンは読み上げる必要が無いことが多い。イコールは読み上げる。
2.16. アルファベットの読み上げは点字の規則に従い、何も付けなければ小文字を表す。
アルファベットの前に「大文字」と言うと、その1文字だけが大文字になる。「以下、大文字」と言うと、その次の文字列全体が大文字になる。 ただし、中途失明の人は点字の規則を知らないこともあるので、大文字の後に小文字がある場合は「小文字」や「以下、小文字」を言う方が良い。
例)
「オーモジ エスディージーエス」 → Sdgs
「オーモジ エス、イカ コモジ、ディージーエス」 → Sdgs
「イカ オーモジ、エスディージーエス」 → SDGS
「イカ オーモジ、エスディージー、コモジ エス」 → SDGs
2.17. 動詞はアクセントによって意味が違うことが多いので、特に気を付ける。
例)
金魚を買った。
金魚を飼った。
2.18. 文脈によって読みの違う漢字に気を付ける。
例)
注ぐ
「ソソグ」、茶や酒の場合は「ツグ」
3. 図・表・グラフの説明は、何が大事な情報かを考えて取捨選択
簡単に説明することが求められるが、情報が欠けていてはいけない。そのために、以下のことに留意する。
3.1. はじめに全体像を簡潔に言う。
3.2. 的確な言葉を使ってわかりやすくする。
例1)
水平な線の上に接して円。
例2)
水平な線の上方に円。
例3)
水平な線に重ねて円。
3.3. 具体的で易しい言葉を使う。
ただし、専門書では専門用語を使っても良い。
3.4. 体言止めを多用することによって、少しでも短くするように心がける。
3.5. 省略も技術。
複雑すぎて説明に何十分もかかる図の場合、図のページ番号、タイトル、原本にある説明文、全体像、最低限必要な情報だけを伝えて、細部を省略しても良い。
3.6. キャプションと図や写真の内容がかけ離れている場合、その違和感を説明する。
例)
写真。国分義伸さん宅で出してくれたごちそう。主食はバナナだ/ビセンテノブル
説明。
白黒写真。
広いテーブルの真ん中に、バナナや小魚を使った質素な料理が3皿。
その奥に、飲み物の入ったコップが載ったお盆。
写真おわり。
写真に写っているものが「ごちそう」という言葉から想像されるものとは異なることを説明する。
3.7. 図や写真から受ける感覚について主観的な説明をする必要がある場合は、なぜそう感じたかを具体的に説明する。
例)
口をかたく引きむすび、目を伏し目にした悲しそうな表情の少女
「悲しそうな」だけではいけない。どういうところが悲しそうに見えるのかを言う。
3.8. 不明確なことを断言しない。
地図の東西南北
北が上とは限らない。また、「東チモール」など、国名に方角を表す言葉が含まれる場合、方角を東西南北で言うよりも、上下左右で言う方がわかりやすくなる場合がある。
系図の長幼の順
明記していない場合、上や右が年上とは限らない。
グラフの数値
数字が書いていない場合で概数を言う場合は、概数であることを言う。グラフの線が零になっているように見えても、実際に零であるかどうかはわからない。「限りなく零に近い」などの表現を使う。
年
年度と年次は違う。どちらか明記されていない場合は「年」とだけ言う。
比較するものがないときの大小
写真で大きく写っていても、比較対象が写っていなければ実際に大きいか小さいかわからないので、大きさの説明を避ける。
色
白黒写真では色がわからないので、「黒」「白」とは言わず、「濃い色」「薄い色」と言う。
3.9. 表やグラフでは、決まったパターンを守る。
説明のしかたが毎回異なるとわかりにくい。
4. 説明から元の図・表・グラフを再現できるように
図になっていることが本文に書いてある内容と同じ場合でも、図ではどうなっているかを説明する必要がある。
4.1. 図・表・グラフを説明するとき、「上」「下」「左」「右」という言葉で配置や方向を伝えることによって、再現性が増す。
表の例
縦の項目は国名で4項目、上から日本、アメリカ、中国、オーストラリア。
横の項目は年で5項目、左から……
グラフの例
折れ線グラフ。
横軸は左から右に、平成17から平成22までの6年間。
縦軸は市債残高で単位は億円、下から上に、零円から二兆五千億円まで。
零円と二兆一千億円の間に省略の二重線。
それ以上は一千億円ずつ目盛り。……
4.2. さらに細かい位置や方向を伝えるには、時計の文字盤の数字を使うことが大いに有効である。
例)
図。パチンコの3店交換
説明。
……12時の位置に客。
1時の位置に現金。
6時の位置に景品卸。
11時の位置に出玉。……
5. 滑舌の練習
毎回、滑舌の練習で以下の文字を読んだ。遠藤講師は、「この紙(pdfファイルに変換済み、講師の許可を得て公開)を音訳グループ内で共有し、練習に使っていただけたら嬉しい」と言っていた。
読むときは、2文字単位の単語が並んでいるつもりで読む。10文字目と11文字目の間には短いポーズを入れる。始めは全ての行をゆっくり読み、次に全ての行を速く読み、最後に行ごとにテンポを変えて読む。ゆっくり読む行は末尾で速くならないように注意する。この練習によって、読むテンポをコントロールする力を身につける。
- 「か」行と「は」行の組み合わせの訓練
かはかひかふかへかほ はかはきはくはけはこ きはきひきふきへきほ ひかひきひくひけひこ くはくひくふくへくほ ふかふきふくふけふこ けはけひけふけへけほ へかへきへくへけへこ こはこひこふこへこほ ほかほきほくほけほこ
- 「が」行と「な」行の組み合わせの訓練
がながにがぬがねがの ながなぎなぐなげなご ぎなぎにぎぬぎねぎの にがにぎにぐにげにご ぐなぐにぐぬぐねぐの ぬがぬぎぬぐぬげぬご げなげにげぬげねげの ねがねぎねぐねげねご ごなごにごぬごねごの のがのぎのぐのげのご
- 「が」行と「は」行の組み合わせの訓練
がはがひがふがへがほ はがはぎはぐはげはご ぎはぎひぎふぎへぎほ ひがひぎひぐひげひご ぐはぐひぐふぐへぐほ ふがふぎふぐふげふご げはげひげふげへげほ へがへぎへぐへげへご ごはごひごふごへごほ ほがほぎほぐほげほご
- 「な」行と「は」行の組み合わせの訓練
なはなひなふなへなほ はなはにはぬはねはの にはにひにふにへにほ ひなひにひぬひねひの ぬはぬひぬふぬへぬほ ふなふにふぬふねふの ねはねひねふねへねほ へなへにへぬへねへの のはのひのふのへのほ ほなほにほぬほねほの
第2部. 調査法の実際(成毛由紀子講師)
以下の情報について成毛講師は、「各音訳グループに持ち帰り、皆さんに広め、活用してほしい」と言っていた。
1. 調査のあり方
1.1. 調査の前に原本全体に目を通す。
読みの確認が必要な語句をチェックする。原本の後半にルビがあることもある。
1.2. 少しでも疑問や迷いがあれば辞書で確認する。
1.3. 専門用語には専門分野の辞典を使う。
専門用語の読みは一般の読みと異なることがある。三療関係(あん摩マッサージ指圧、鍼、灸)、西洋医学、東洋医学、法律、仏教などの読みについては、それぞれの専門辞書をひく。
例)
音訳対象:
「枯れ枝に鵜とまりけり秋の暮」続いてカーカーカーと録音で聴かせた
ものだ。この鵜のように日本は滅びるぞ…というのであるが、[...]
(『国策通信社『同盟』の興亡』から)
調査文献: 『新編 芭蕉大全』
枯枝に烏とまりけり秋の暮 はせを
この調査により、原本の誤植と判断し「鵜(ウ)」を「烏(カラス)」に訂正。
例)
音訳対象:
東洋汽船所属の大和丸[...]
(『国策通信社『同盟』の興亡』から)
調査文献:
『日本商船・船名考』(海文堂出版)
「大和丸」に「やまとまる」のルビあり。同様に「地洋丸」は「ちようまる」と判明。
例)
音訳対象:
菱刈隆[...]
(『国策通信社『同盟』の興亡』から)
調査文献:
『日本陸海軍総合事典』(東京大学出版会)
「菱刈隆」の読みは「ヒシカリタカシ」と判明。
例)
音訳対象:
吉富正甫[...]
(『国策通信社『同盟』の興亡』から)
調査文献:
『姓名よみふり辞典』(日外アソシエーツ)
最も頻度の多い読みは先頭にアスタリスク「*」が付いている。(次点の読みは後ろにアスタリスク「*」。)
最も頻度の多い読みを採用し、「吉富正甫」の読みとして「ヨシトミセイホ」を選択。
例)
音訳対象: ラテン語の学名多数(『南方熊楠大事典』から)
調査文献:
『植物レファレンス辞典』(日外アソシエーツ)
『オックスフォード植物学辞典』(朝倉書店)
『植物学ラテン語辞典』(至文堂)
『植物3.2万名前辞典』(日外アソシエーツ)
『キノコ四天王樫山嘉一宛南方熊楠書簡』(南方熊楠記念館;ルビがある)
『ニューエクスプレス ラテン語』(白水社)
例)
音訳対象: 屋号を表す記号
調査文献: 『屋号語彙の開く世界』(岡野信子著、和泉書店)の「家印屋号語彙」
[山型「^」の下にマス「〼」]、屋号を示す記号 47-9
[罫線右上の角のような形「┐」の左下に白抜き三角形「△」]、屋号を示す記号 62-2
調査の結果、これらの記号はそれぞれ「ヤママス」「カネウロコ」と読み、形の説明を追加した。
またこの文献の本文中には「家印」の読みが書かれていないが、索引から「イエジルシ」と読むことが判明している。
1.4. 1冊の本の中では原則として読みを統一する。
表記が同じで意味も同じ場合は、違う読みにしない。そのために、調査した語・出現箇所・読み・典拠を調査票に記録する。典拠を記入するのは、校正者による調査の重複を防ぐため。
調査票を表計算ソフトで記録しておくと、読みのあいうえお順や出現ページ順などで並べ替えができ、検索もできて便利。
1.5. 著者が指定している読みを優先する。
ルビが付いている語については、調査結果と異なっていてもルビのとおりに読む。索引についても同様。
例)
金粟如来
「キンゾクニョライ」
『仏教語大辞典』には「こんぞくにょらい(きんぞくにょらいとも)」
『日本国語大辞典』には「こんぞくにょらい」
原本の索引では「き」に分類されている。
この場合は著者の指定に従い「キンゾクニョライ」と読む。
1.6. 著者への問い合わせは避ける。
出版社への電話での問い合わせなども避ける。
ただし、出版者のホームページに読者からの問い合わせを受け付けるサービスがある場合は、そこから問い合わせて良い。先方には読者サービス担当のスタッフが常駐し、すぐに返事が来ることが多い。
2. 辞書
一般向けの辞書、専門分野の辞書などから、音訳対象となっている本に最も適した辞書を選ぶ。
辞書によって読み方が違うことがある。どこかの辞書に載っている読みならOK。読み方によって意味が違う場合は、文脈に沿った意味になる読みを採用する。
2.1. 家庭用
国語辞典(中型)
漢和辞典(中型)
語学の辞典(発音記号が読めない人は、カナ発音が付いているものを選ぶ)
2.2. 百科事典
日本大百科全書 など
2.3. 漢和辞典
大漢和辞典15巻
廣漢和辞典4巻
など
2.4. 国語辞典
広辞苑
大辞林(アクセント表示あり)
日本国語大辞典13巻(特殊な読みも網羅して収録されているので、中辞典にある読みの方を優先する)
辞書にない「あて字」の辞典(講談社プラスアルファ文庫)
など
2.5. 外国語辞典
- 英語
ランダムハウス英和辞典
リーダーズ英和辞典
など - ドイツ語
新コンサイス独和辞典
クラウン独語辞典(カナ表記)
など - フランス語
クラウン仏和辞典(カナ表記)
など - その他外国語辞典
ニューエクスプレスシリーズ
など
2.6. 人名
- 一般人名
日本人名大事典6巻
など - 歴史人名
角川日本姓氏歴史人名大辞典
など - 近・現代の人名
国立国会図書館著者名典拠録
日本著者名総目録シリーズ
日本姓名よみふり辞典(姓の部・名の部)
誰でも読める日本近代史年表―ふりがな付き(人名索引から没年を調べ、年表の中の年をひく。このシリーズには、他に古代史・中世史・近世史・現代史もある。)
など - 韓国・朝鮮人の姓名を原音に近い音で読む
韓国姓名字典 韓国・朝鮮の人名を正しく読むために(三修社)
など
2.7. 地名
- 一般地名
コンサイス外国地名事典
コンサイス日本地名事典
角川日本地名大辞典
など - 歴史地名
日本歴史地名大系(県別)
など - 韓国・朝鮮の地名は、できる限り現地読みに近い音で読む。
朝鮮半島の地名の日本語読み(国立国会図書館)。
2.8. 発音・アクセント
- 日本語発音アクセント辞典
新明解日本語アクセント辞典
NHKことばのハンドブック(用語の読み、数に助数詞が付いたときの読み方一覧表など)
3. インターネット
3.1. 調査に役立つリンク集
- 国立国会図書館蔵書検索
「検索機能のみを利用する。(ゲストログイン)」ボタンで検索ページを開く。
「詳細検索」をクリックし、「資料種別欄」で「図書」のみを検索すると効率が良い。雑誌などの検索結果には読みの表記がないことが多い。
検索結果を表示し、表示形式の「MARCタグ形式」をクリックすると、著者名の読みが出ることがある。 - 国立国会図書館サーチ
検索結果から、各公共図書館等への横断検索ができる。その図書館の蔵書検索で同じ図書を再度検索すると、著者名の読みが出ることがある。 - 国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス
著者名を調べるときは、これの方がOPACより便利かもしれない。
書籍の出版がなく論文だけの著者名でも、読みがローマ字で表示される。 - 都立中央図書館蔵書検索
「著者典拠」ボタンをクリックして開くページで著者名を漢字で入力すると、読みがカタカナで表示される。 - 音訳の部屋
- 日本古典籍総合目録データベース(国文学研究資料館)
新日本古典籍総合データベース(国文学研究資料館)(2017.04.27から試験公開)
著者詳細では著者の別称や別号も表示される。 - 日本郵便―郵便番号検索
- 鍼灸・医学用語の点訳・音訳辞書システム(筑波技術大学)
- 点訳ナビゲーター(全視情協)
「一般」「医療」「古語」「方言」「全て」のカテゴリから選んで検索することができる。「全て」を選ぶと良い。
点訳用の資料も、音訳に大いに役立つ。
3.2. 原本に記載されている書名などに疑問点がある場合、図書館の蔵書検索で確認できる。
例)
音訳対象:
[書名として出現]
「インドの酷砂漠に日本人収容所があった」峰敏明著[...]
(『国策通信社『同盟』の興亡』から)
国立国会図書館蔵書検索と都立中央図書館蔵書検索には『インドの酷熱砂漠に日本人収容所があった』という書名あり。さらにアマゾンで表紙を確認。
以上の調査により、原本の誤植と判断し「インドの酷砂漠に日本人収容所があった」を「インドの酷熱砂漠に日本人収容所があった」に訂正。
3.3. 図書館の蔵書データにも間違いがあることがある。
例)
音訳対象:
『春夏秋冬土用で暮らす。:五季でめぐる日本の暦』
[書名の読み]
国立国会図書館蔵書検索のデータベースによると
タイトル 春夏秋冬土用で暮らす。 :
五季でめぐる日本の暦 /
タイトルよみ シュンカ シュウトウ ドヨウ デ クラス :
ゴキ デ メグル ニホン ノ コヨミ.
ところがこの本を出版した「主婦と生活社」のウェブページでは
春夏秋冬 土用で暮らす。
ハルナツアキフユドヨウデクラス
著:冨田 貴史 著:植松 良枝
旧暦には四季に土用を加えた5つの季節があります。
実は、土用こそ心地よく暮らすための要。
その技を説きます。
となっている。サピエの書誌データでも同様の読みとなっていることを確認。
国立国会図書館よりも、出版元の情報を信用し、「ハルナツアキフユドヨウデクラス」という読みを採用。
付記
都立中央図書館には視覚障害のある職員が数人勤務している。そのうち、ムライさんとヤマザキさんは交代で、毎回の研修にオブザーバーとして出席してくれた。ムライさんは、視覚障害者の立場から、聞きやすいデイジー図書の作り方などについての講演も行なっている。出張講演もできるので、必要であれば連絡してほしいとのこと。
報告おわり。