音訳版の自主製作に適した図書の探し方

提案としてご参考までに。

目次

1. 自主製作を目指す分野を絞り込む

「日本国内の資料のうち、 障碍者向け資料が作られているものの割合」 を参考にして、障碍者向け資料の比較的少ない分野から、自主製作に取り組みたい分野を選びます。

その分野で、自主製作したい図書の候補を何冊か選びます。

現在の一時的なベストセラーは、間もなく朗読版が販売されたり、他の団体が着手したりする可能性が高いので、じっくり取り組むのには向いていません。 一方、特定の分野の隠れた名著は、需要は永続的にありそうなのに、意外と音訳されていないことがあるので、穴場だと思います。

2. 選んだ図書の音声版が出ていないかどうか、検索する

その図書を検索してみて、音声版がすでにあるなら、自主製作の候補から外すのが良いと思います。

以下のような段階をたどって検索を進めると、効率的だと思います。

2.1. 販売されている朗読版の検索

その図書の朗読版が売られている場合はデイジー版の必要性が下がるので、まず国立国会図書館で検索します。

日本図書館協会が作成しているリストに入っている出版者等がデイジー版を販売している場合は、自主製作でデイジー版を提供することができません。

オンラインのオーディオブックもたくさん売られているので、以下の所でも検索すると良いと思います。

例えばユヴァル・ノア・ハラリ(柴田裕之 訳)『サピエンス全史』は、すでに上記のどちらにも、それぞれ別の朗読者による朗読版が売られています。

ただ、市販のオーディオブックは、写真や図表をファイル添付しているだけで、音声で説明しないので、重要な写真や図表を含む本であれば、オーディオブックがすでにあっても、音訳する価値はあるかもしれません。このように、音声版が売られていてもその音声化が不完全である図書については、著作権法第三十七条第三項ただし書に該当しないものとして、音声デイジー版を製作し、必要な利用者への提供ができるそうです(「音訳者・音訳ボランティアのための著作権セミナー」の質問に対する日本図書館協会障害者サービス委員会の回答、2022年9月14日付)。

以上の結果、目指す図書の朗読版が無い場合は、次の段階に進みます。

2.2. 音訳版の検索

その図書を、国会図書館の障害者向け資料検索で探します。

各図書館のテープやCD、サピエにあるダウンロード版のほか、サピエで着手した未完成の図書も検索結果に現れます。着手していて未完成の場合は、図書のタイトルのリンクを開くと、詳細データの「注記」の欄に書かれています。

これで録音図書が見つからなければ、自主製作の候補に残して良いと思います。

完成した録音図書が無く、着手して未完成のものだけが見つかった場合は、次の段階に進みます。

2.3. 「着手」された音訳の完成予定日を確認

サピエ図書館でその図書を検索します。(先方がシステムを変更すると、このURLが変わる可能性があります。)

着手しただけで未完成の図書は、検索結果の「形態と巻数」の欄に「着手」と書かれています。

その本のタイトルをクリックすると、「資料詳細」が表示され、「完成予定日」が分かります。かなり昔の日付であれば、製作をやめたのかもしれないので、製作館に問い合わせると良いと思います。

着手しただけで完成しそうもなければ、自主製作の候補に残して良いと思います。

以上です。